2007年8月12日日曜日

運用法について考える2

 前に「運用法について考える」で 昨年の北陸学生連盟主催の運用法の講習会を頼まれたときにまとめた資料の一部を載せたつもりだったのですが、上手く表示されていないようなので、テキストとしてまとめなおすことにしました。
 練習の中での運用法の位置づけ
 私は、「自分の体の使い方を学習するのが最終的な目標なのかも?」と考えています。平常心を身につける所まで到達できたら幸せなのですが。
 練習の中には、「基本」「法形」「運用法」「演武」があり順番に練習して行くのではなく、お互いにつながっていると考えて練習した方が良いと考えられます。「運用法」や「演武」で課題が見つかったら「基本」、「法形」に立ち返えって練習する。また、「基本」、「法形」で身につけたことを「運用法」や「演武」で使えるかを試す。そんなイメージです。
 「基本」は、ボディーイメージを高める、体の使い方を染みこませる。
 「法形」は、効率良い体の使い方の組み合わせを学習する。一つの原理を他にも応用できるかも?→理を知る! 法形の真義
 「運用法」は、技の連絡、つながりを考える。技、体のバランスを学習する。即応能力 間合、虚実など当身の五要素の確認 先について
 注意:勝負にこだわってしまう。 自分の強さを誇る。やり方によっては、上記を増長させてしまう。(演武も同じですが・・・)
 「演武」は、基本的に運用法と同じと考えている。 約束事が多いか、少ないかの違い。 演武は、他に見せると言う視点が加わるか?
 「運用法」と「演武」の間は連続していると考えています。約束事が多いのが「演武」で約束事が少ないのが「運用法」です。約束事が一番少ない練習方法が、自由乱取りであり、約束事が色々増えて、限定乱捕りや防具がある、なし等となり、約束事が多いのが、自由組演武、規定組演武などです。
 また、法形の練習中であっても運用法の練習はできます。決まった攻撃であっても真剣に行うと、なかなか受けて、反撃する事が難しことが解るはずです。大切は事は、今、何を目的に練習しているかをお互いに理解して行う事です。
 次ぎに運用法を行う上での注意点について基本に立ち返りながらあれこれ考えてみたいと思います。
 構えについて
 構えの中には、身体的に充実した部分と虚の部分がる。(全身すべてに意識を向けるのは難しい!)構えの中の虚(きょ)の部分は意識を集中して即応できるようにしておく事が大切である。他の部分は、体勢にすきができないように構えることが大切である。
 例、一字構:下段に対して警戒し、上段を空けている。
       下段に対して体勢は充実している。
       上段に対して意識を向けている。
 虚実について
・体勢の虚(構えの乱れ)
・体質の虚(力が抜けた状態)
・精神の虚(油断)
 間合について
・基本間合、近間、遠間    相手との距離感を身につける。
 先について
 後の先:攻撃をかわし、受けてから相手の体の崩れを利用して反撃する
 対の先:相手の動きを予知して勝ちをとる(動きを読みとる)
 先の先:機先を制して勝ちをとる(不意打ちの様な形)気を読みとる
      攻防の機会を捉えたり、勘を養うことが必要かも?
 攻防の機会(瞬間を捉える)
・相手の構えに隙(すき)がある場合
・相手が攻撃をしようとする瞬間
・相手の技を殺し、体を崩した瞬間
・相手が体構を変える時
・相手の技がつきた時
      裏を返せば、残心が大切と言う事
 勘について     五管以外の感覚を鋭くする(第六感)
身につけるには?
・つねに問題意識を高く、鋭く持つ
・何事も他のものごとと関連させて考える
・考えるヒントとなる情報を豊富に蓄える
・興味と関心を広く開いて見聞を広げる
   など(運用法に限りません!アイデアを出す場合も同じです。)
 防具の使用について
・ケガ防止の為 (強く突き、蹴りを行うためではありません。)
・繰り返し行う、回数をこなす為の練習用です。
・安全対策のつもりが、使用法を誤ると逆に危険!(特にフェイスガード)
 最後に、「 自分の体の使い方を学習するのが最終的な目標かも?」と 最初に書いた事がまとめになるように思います。
 自分の体の使い方なんて意識することは少ないのですが、それを一度、意識的に行い、繰り返して無理や無駄を少なくして効率の良い動き方を身につけていく、そしてそれを無意識に動けるように戻していくのが目標となると考えています。これができると日常生活でも立居振舞が綺麗で無駄がない動きとなり、腰痛や肩こりと無縁になるのでは?

 ここからは少し脱線なのですが、私は理学療法士で病院のリハビリテーション室で仕事をしていますが、腰痛や肩こりは、痛い時は鎮痛を目的に行います。しかし、大切なことは、腰痛や肩こりにならないように日頃から動作や姿勢などに気を付けて予防しているかが重要となります。
 普通、腰痛は、健康であれば何もしなくても10日程度で治ります。治療するのは、痛みを軽減するか痛い期間を多少短くする程度で、ほとんどが自然治癒します。腰痛を繰り返したり、長期間に及ぶのは、動作や姿勢に無理があることが考えられます。これを放置していると慢性化して骨の変形や筋、腱、靱帯などの変成が起きてしまい治療するには手術が必要となってしまうかもしれません。
 効率良く、無駄の無い動作や姿勢を身につけていかないといけないのです。動作や姿勢に気を付けるだけでは解決しないような場合は、作業の機械化や道具の工夫など作業工程自体を見直す必要があるかもしれません。
 動作や姿勢の不良は、筋力が少ないと考えるより、筋肉の使い方、協調の仕方が悪いと考えられます。何気ない無意識の動きに腰痛の原因が考えられます。
 だから極端な事を言うと、
    「少林寺拳法の練習をすると腰痛や肩こりが治る!」
と言えるかもしれません。無理や無駄のない動きを身につけるように意識して練習している価値があるかも知れませんね。